工学研究科 准教授 竹林 英樹
カーボンニュ-トラル推進本部 指導員 吉田 尚人
神戸大学の六甲台キャンパスの全建物を対象として、CO2排出量削減の具体的な戦略を策定するために、現状の設備機器の稼働実態調査、エネルギー消費量の分析に基づき、CO2排出量削減効果の予測を実施しました。具体的には、照明機器のLED化、空調機器の更新、空調機器のエネルギーマネジメント、実験機器の運用改善などを想定し、大学の施設部に協力頂き図面調査、現地調査、エネルギー消費量調査と分析を実施しました。
神戸市による令和5年度大学発アーバンイノベーション神戸(物価高騰等対策)に採択された「大学建物におけるCO2排出量削減戦略策定のための削減効果の予測に関する研究」の一環として、神戸大学施設部に協力頂き、SDGs推進室、カーボンニュートラル推進本部とも連携して実施しました。
時刻別電力消費量の測定結果を統計的に分析した、クラスタ分類結果による削減ポテンシャルの把握の例を以下に示します。休日相当127日の電力消費量をベース電力、平日相当205日の電力消費量と休日相当との差を照明?コンセント電力、冷暖房期相当33日の電力消費量と平日相当との差を冷暖房電力、と読み替えることで対象建物別の電力消費量が把握され、LED改修や空調機器の更新などの具体的なCO2削減方策の対象が特定されました。
具体的なCO2削減方策として、以下の項目が指摘され、CO2排出量削減効果が予測されました。
ベース電力:
- 行動変容によるPC?実験機などの待機電力削減
- 設定温度緩和によるフリーザーの電力消費量削減
- データセンター用空調機導入によるサーバー空調機の電力消費量削減
照明電力:
- 稼働率?電力消費量の多い建物から優先し、LED改修?制御を追加
冷暖房電力:
- 設定温度緩和の実施
- 更新時空調能力の見直しを行い、部分負荷率の改善?コスト低減を図る
- 稼働率?電力消費量が多く、設置年数が古い建物から優先し空調改修