思考と想像力の先にあるもの
- 所属:
- 神戸大学環境保全推進センター センター長(2024年度)
- 神戸大学大学院理学研究科 化学専攻 教授
- 専門分野:
- 半導体、磁性体、超伝導体およびその複合体の合成と物性研究
最近の新聞でチャットGPTなどの生成AIに関する記事を見ない日はありません。利点もある一方で、著作権問題、機密情報の漏えい、ディープフェイクなどの問題が懸念されています。また、最近では、生成AIのデータシステム構築の過程で発生する、半導体の莫大なエネルギー消費についても報道されています。技術革新に伴い、想定以上に電力消費が進み、脱炭素化を進める政府のエネルギー戦略に影響を与える可能性もあるとの指摘もあります。
ここでは、生成AIの是非について議論するつもりはありません。しかし、民族紛争や環境問題など、現在人類が抱える複雑な問題の解決には生成AIは無力であり、依然として、人間の絶え間ない思考と未来への想像力が不可欠であることは、言を待たないと思われます。このような時代であるからこそ、大学の学問の府としての役割は、今後ますます重要になってくるでしょう。
ただ、大学での教育?研究活動も環境問題とは無縁ではなくなりました。現在、大学の教職員は、研究活動の推進と省エネルギーの達成という、これまでの枠組みでは二律背反となる課題をどう克服するかについての解答を迫られています。本報告書は、その問題解決のために本学が行っている取り組みをまとめたものです。環境保全推進センターも、その解決に向けて、微力ながら、日々努力を続けております。取り組みの不十分な点も多々あること思います。本報告書をご高覧の上、ご指導、ご鞭撻いただけましたら幸いに存じます。