環境に関する教育研究とトピックス
トピックス
「大学発 アーバンイノベーション神戸」の研究とESD演習
経済学研究科 特命講師 小島 理沙
(1)「大学発 アーバンイノベーション神戸」の研究(高齢社会と資源循環)」
循環型社会を形成するにあたり、廃棄物の分別排出はその効率性を高める大変重要な行動である。日本は、2000年以降の循環型社会に向けた取組により、国民による高度な分別排出を達成してきたが、高齢化率30%を超える社会において、今後も分別排出の精度を維持、発展できるか重要な局面を迎えている。本研究は、世代間の分別排出の現状を分析し、特に65歳以上の世代の一般生活における分別排出のハードルに着目している。さらに、長田区ふたば学舎では、コミュニティドロップオフがスタートしており、また、日用品メーカーによる洗剤等のつめかえパウチの自主回収プロジェクトが神戸市内75か所の小売店、スーパー等で展開されている。いずれも水平リサイクルを目指した高度な資源循環に向けた取組であり、リサイクル技術の革新ならびに回収スキームの品質管理等が試されている。これらの取組に対して、市場調査を行いながら、企業や行政と連携し、社会実装に向けて共同研究をしている。
(2)ESD演習(プラスチック資源循環とコミュニティ開発)
経済学部で開講しているESD演習において、2021年度はプラスチック資源循環とコミュニティ開発をテーマに研究活動を行った。神戸市が2021年度にパイロットケースとして実施する「コミュニティドロップオフシステム(地域内の任意の場所に資源回収拠点を設け、市民による自治等で運営していくシステム。)制度」を持続可能性の観点から政策分析?評価をする授業を産官学民連携によるESD演習Ⅰ?Ⅱにおいて実施した。
ESD演習Ⅰ(前期)では、神戸市環境局環境政策課による講義&質疑、大阪府寝屋川市と堺市にある大栄環境株式会社のリサイクル施設を見学、そして奈良県生駒市でのコミュニティドロップオフの実証事例をもつアミタホールディングスの社員に講義をいただいた。ESD演習Ⅱ(夏休み集中)では、長田区在住の20~40代の住民に「デプスインタビュー」を実施し、調査レポートをまとめ、神戸市に提出した。長田区でコミュニティドロップオフが2021年11月よりスタートするにあたってのプレ調査となり、教育、研究面での成果がみられた。