環境に関する教育研究とトピックス [環境に関する教育]

大学建物を対象とした省エネルギーに関する研究

当研究室では、大学建物の省エネルギーに関する研究を継続的に実施しています。

2014年度は以下の3編の修士論文で取り組みました。

図1 室外機熱交換量の測定概要
図1 室外機熱交換量の測定概要
①室外機熱交換量と室消費電力測定による
 室内機熱交換量推定に関する研究 (担当:福寄航)
大学では一台の室外機で複数の部屋の空調を行うマルチパッケージ型の空調機が広く使用されています。この研究では、各部屋の空調機の使用状況を、室外機熱交換量と室消費電力の測定結果に基づいて推定する方法を検討しました(図1)。
図2 用途別電力消費量の測定結果(教員研究室)
図2 用途別電力消費量の測定結果(教員研究室)
②電力実測に基づく既存大学建物に
 おける省エネルギー方策に関する研究 (担当:松川啓介)
大学建物の教員研究室を対象として、照明、コンセント、換気などの電力消費量と室温を測定し、その分析結果に基づいて省エネルギー方策を提案しました。対象とした教員研究室では照明の電力消費量が比較的大きく、LED化の可能性が提案されました(図2)。その後、熱負荷計算により、建物の仕様や運用改善などの省エネルギー方策による効果を算出し、各方策の有効性を考察しました。
③部屋の使われ方と外気温に注目した大学建物における空調用エネルギー消費量の分析に関する研究 (担当:林小燕)
各部屋のエネルギー消費量は外気温とともに部屋の使われ方の影響を受けています。この研究では、工学部の建設棟、電気電子棟、機械棟を対象として、外気温と部屋の使われ方が空調用エネルギー消費量に及ぼす影響を分析しました(図3)。日ごとのエネルギー消費量は外気温、時刻ごとのエネルギー消費量は部屋の使われ方(電力消費量)の影響を強く受けていると考察されました(表1)。
  • 図3 外気温と日毎の空調用エネルギー(ガス)消費量の関係(建設棟)

    図3 外気温と日毎の空調用エネルギー
       (ガス)消費量の関係(建設棟)

  • 日毎の標準回帰係数 建設棟 電気電子棟 機械棟
    冬期 外気温X1 -0.487 -0.647 -0.351
    電力消費量X2 0.559 0.462 0.560
    夏期 外気温X1 0.856 0.919 0.856
    電力消費量X2 0.214 0.192 0.269
    時刻毎の標準回帰係数 建設棟 電気電子棟 機械棟
    冬期 外気温X1 -0.329 -0.421 -0.108
    電力消費量X2 0.870 0.824 0.847
    夏期 外気温X1 0.445 0.501 0.323
    電力消費量X2 0.612 0.605 0.748

    表1 日、時刻毎の空調用エネルギー消費量の重回帰分析