環境マネジメントの取り組み
環境マネジメントに関する方針と取り組み
神戸大学は、平成22年度に第2期中期計画期間 ( 平成22年度~平成27年度 ) における環境マネジメント方針「環境マネジメントを推進するための基本方針」 ( 平成23年2月17日環境?施設マネジメント委員会承認 ) を策定し、それにもとづき積極的な取り組みを行っています。
環境マネジメントを推進するための基本方針
- I 3R活動の推進
- 本学の全構成員によりリデュース、リユース、リサイクル ( 3R ) を推進し、資源の消費量を減らすと同時に廃棄物を積極的に削減していきます。
- II CO2削減量15%OFFへの取り組み
- 全学のCO2排出量を平成16年度を基準とし、全学的取組により第2期中期目標期間中に原単位で15%削減を目指します。
- III 環境マネジメントサイクルの実施と継続
- 本環境マネジメント方針を達成するために必要な行動計画を立案し、PDCAサイクルを確実に実施し、継続します。
1.「I 3R 活動の推進」に関する取り組み
ごみ箱の統一について ~神戸大学統一屋内用ごみ箱「 ke ※ボックス」~
3R 活動を推進するため、できることから実施する取り組みの一つとして、ごみ箱の統一を検討しました。約1カ月間テスト設置を行い、部局および利用者から意見を収集した結果、おおむね好評であったため、屋内用ごみ箱の基本仕様を統一することとし、平成23年度末に一部 ( 212個 ) 導入しました。
※ke:「k」は神戸大学、「e」は eco を表しています。
テスト設置の様子
図1 ごみ箱の統一について ( 概要 )
その他、3R 活動の推進に関する取り組みとして、「物品リユース情報」 ( 学内専用 ) のページを設け、学内の物品に対して資源の有効活用および経費削減を図っています。また、学生団体の自主的な取り組みとして、Truss ( トラス ) では、留学生支援ボランティア活動の一環として、「キッチン計画」というイベントで不要になった日用品、家電製品など日常生活に必要なものを集め、バザーを行っています。
2.「II CO2削減量 15%OFF への取組」に関する取り組み
見える化装置の設置
平成22年度に自然科学系図書館に電気使用量の見える化装置を設置し、運用改善のモデルケースづくりを行い、効果が高いことが分かりました。そこで、平成23年度に、できることから実施する取り組みとして、六甲台地区の特高受電所中央監視装置を利用した見える化装置を導入し、平成24年度から運用しています。今後は、主要団地を中心に関連部局と協議しながら設置を拡大していきます。
図2 見える化装置導入について
神戸大学電気予報
神戸大学では、平成18年度から夏季および冬季に神戸大学電気予報を学内HPに掲載しています。同ページには、六甲台地区の使用電力量、省エネ十ヶ条も掲載し、省エネへの啓発を行っています。
電気予報 天気予報 最高気温 降水確率 今日
7/13 ( 金 )曇 31℃ 40% 明日
7/14 ( 土 )曇 29℃ 30% 明後日
7/15 ( 日 )曇 31℃ 40%
図3 神戸大学電気予報
図4 デマンドくん
太陽光発電設備の設置状況
神戸大学では、太陽光発電設備を設置し、自然エネルギーを利用するとともに、モニタへ表示するなどして意識啓発を行っています。
新しく建設する建物や大規模改修を行う建物には、太陽光発電設備の設置を検討し、近年では平成21年度に六甲台2団地の自然科学4号館や平成22年度に完成したポートアイランド3団地の統合研究拠点にも設置しています。
今後も引き続き、自然エネルギーの利用を検討していきます。
- 表1 太陽光発電設備設置一覧表
団地名 設置建物 発電容量 ( KW ) 六甲台2 工学部本館 4.00 工学部本館 40.00 都市安全研究棟 2.67 自然科学3号館 16.60 自然科学4号館 18.00 鶴甲1 C棟 10.00 住吉1 小学校 10.00 中学校 10.00 深江 2号館 10.00 総合学術交流棟 10.00 明石 小学校 10.00 中学校 10.00 幼稚園 10.00 大久保 本館 10.00 ポートアイランド3 統合研究拠点 30.00 計 201.27
太陽光パネル
太陽光発電システム表示パネル
3.「III 環境マネジメントサイクルの実施と継続」に関する取り組み
環境キャラバンと環境改善キャラバン
神戸大学では、平成21年度から環境キャラバンを毎年行っています。
主要10団地を対象に、ランダムに選んだ部屋に対して抜き打ちで行い、団地ごとに抱える課題や環境マネジメントの取り組みについて意見交換を行います。
- 図5 環境キャラバン概要
エアコンフィルターをチェックするメンバー
この環境キャラバンの結果は、環境?施設マネジメント委員会に報告するとともに、全学に公表しました。
照明の消し忘れ、過度な空調設定温度、空調機フィルターの未清掃などの悪い点だけでなく、窓際消灯、網戸の利用、古紙回収ボックスの設置、ペットボトルキャップの分別?リサイクルなどの良い点もたくさんありました。チェック項目にない特別な取り組みとして、職員立会いでごみ分別を確認している部局や独自に組織を作って省エネ活動をしている部局等もありました。
さらに平成23年度には、この活動を PDCA のAction につなげるため、環境改善キャラバン ( 環境に係る改善活動 ) を実施し、環境キャラバンの結果報告を行うと共に、課題解決のため、意見交換や改善提案を行いました。
環境キャラバンで明らかになった部局ごとの課題に対して、改善の取り組みの結果を報告してもらい、確実に Action を実施し、PDCA サイクルを回しています。
図6 環境キャラバンと環境改善キャラバン
部局の取り組み
海洋?気象研究室節電対策行動指針の策定
海事科学研究科 教授 香西 克俊
海事科学研究科、海洋?気象研究室では、温室効果ガスや洋上風力発電に関する教育?研究を行っています。このような教育?研究を手がける大学研究室?研究者が果たすべき社会的責務として、これまでにも節電を行ってきました。さらに、2011年夏季、関西電力が15%の節電を依頼したことを受けて、同年6月に野崎技術主任を議長、事務補佐員と大学院生をメンバーとする節電対策会議を発足させました。
この会議では、複数の建屋に別れる研究室約10部屋に設置されているコンピュータ、照明、空調、冷蔵庫など、すべての電気機器の消費電力および使用時間を調査し、消費電力を見積もりました。さらに、研究活動に支障が出ない範囲で可能な節電対策を行った場合の消費電力を見積もりました。この結果、約30%の節電が可能であるとの結果を得ました。これを下図に示す行動指針としてまとめ、同年7月に研究室全員に周知するとともに実行しました。2012年夏季も節電が予想されたため、5月時点で全員に周知、実施しました。
この他にも、野外観測の際の電力確保を主目的にポータブル?ソーラーパネルとバッテリーを購入しました。観測時以外は研究室で使用し、わずかではありますが再生可能エネルギーを導入しています。
現在の節電は原発問題が発端ですが、そもそも二酸化炭素排出量の抑制による地球温暖化防止という大きな目的があります。当研究室ではこのことを忘れず、日常的に節電を心がけ、行動に移しています。
立地条件を生かした省エネ対策
人間発達環境学研究科 環境管理委員会委員長 寺門靖高
人間発達環境学研究科では、下記の取り組みを行った。
- 夏季の省エネ対策として、夏季休業中はエレベーター2台のうち1台は停止することとし、また管理棟の正面玄関は自動扉であることから日中は開けたままとした。
- 省エネ対策として、本研究科の立地条件 ( 標高約200メートル ) を生かし、空調機に頼らず自然の風による冷気の取り込みを図るため、教員全員に網戸の設置希望調査を行い、希望のあった箇所 ( 100箇所 ) すべてに網戸を設置した。
網戸の事例 ( 外観 )
網戸の事例 ( 内観 )
- エアコンフィルターの清掃は、過去に環境管理委員会で集中的な洗浄作業を行ってきているが、その効果が浸透し、最近は、呼びかけにより各教員による自主的清掃で対応していただいている。
- 研究室に残された不要な試薬や薬品を含む器具類は、場所を取るうえ、危険であることから、毎年順次専門業者に処理を依頼している。今年度も環境管理委員会経費より水銀を多量に含む古い実験装置 ( シュランダー装置<水銀含有機器> ) を専門業者に依頼し、処理した。
- 本学環境管理センターにおいて行われる廃液回収について、2カ月に1回、各教員に対してアナウンスを行い、本研究科の排水管理責任者の指導の下に適正に処理している。環境管理センターによる「実験廃水の分析結果について」をチェックしているが、問題はなかった。
- その他、「学生から車両入構許可証交付申請書」の審査を行い、車両により環境が悪化しないようチェックしている。
その他、部局ごとに積極的な節電対策に取り組んでおり、本部棟 ( 事務局 ) では、照明の間引き、昼休み消灯、エレベーターの一部停止などに加え、遮熱フィルムの貼付、省エネタイプ照明器具への更新、廊下照明の LED 化とともにセンサー制御式への更新などを行い、7~9月の電気使用量が前年比で22%以上削減できた。