近世社会と壱人両名

近世社会と壱人両名

身分?支配?秩序の特質と構造

一人の人物が二つの名前と身分を公の場で使い分けた「壱人両名」。成立から終焉まで多様な事例を分析。近世社会の建前と実態に迫る。

  • 著者
  • 尾脇秀和
  • 出版年月
  • 2020年07月
  • ISBN
  • 9784642038942

近世日本において一人の人物が異なる二つの名前と身分を同時に保持し、公の場で使い分けた「壱人(いちにん)両名(りょうめい)」。従来固定的と見なされていた身分の移動や兼帯はなぜ発生し、いかなる意味があったのか。成立の前提?背景から明治初年の解体?終焉にいたるまで、多様な事例を分析。「身分」の意味を問い直し、近世社会の建前と実態、本質に迫る意欲的な一書。

吉川弘文館 書籍紹介より


目次

  • 序章 本書の課題と研究視角
  • 第一部 近世支配と壱人両名
    • 第一章 近世「壱人両名」考―身分?職分の分離と二重身分
    • 第二章 近世身分の移動と二重化―「両人別」と「身分片付」
    • 第三章 他支配帰属の身分格式化―「支配替」と「両支配」
    • 第四章 白洲座席と身分格式―士?庶「両様」の取扱
    • 第五章 両支配?兼帯における白洲座席の紛擾
    • 第六章 支配?秩序と壱人両名
  • 第二部 近世地下官人と壱人両名
    • 第一章 幕末期朝廷献納金穀と地下官人―文久三年「分賜米」を中心に 
    • 第二章 近世禁裏御香水役人の実態―地下官人の職務?相続?身分格式
    • 第三章 近世「賛者」の実態と「町家兼帯」
    • 第四章 近世禁裏衛士役人の相続と存在形態
    • 第五章 地下官人と壱人両名の終焉―近世二重身分の作法とその解体
    • 終章 総括と展望