〈保守〉とは何かを問いなおす
保守主義の対抗理念である進歩主義の退潮と希薄化に加えてイデオロギー対立も曖昧になった現在、ライバルのいなくなった保守は「自己刷新」により勢いを取り戻す一方、その代償として「迷走」も見られ、極右ポピュリズム政党の台頭なども相まって保守主義の存在意義が揺らいでいます。
そこで本書は、欧米諸国(イギリス、フランス、ドイツ、オーストリア、アメリカ)だけでなく特徴的な保守政党を有するアジア諸国(韓国、台湾、日本)をも含めた8か国の既成保守政党の、近年における「復調」と「刷新」に着目。それらについて、主に(1)党の政策、(2)党組織、(3)党と社会の関係を分析し、極右ポピュリズム政党の台頭という近年の大きな流れのなかで保守が勢いを取り戻すことができた要因を探るとともに、ひいては彼らが何を「保守」しようとしているのかをもあぶり出します。
大学院国際文化学研究科 阪野智一?近藤正基