神戸?阪神間地域の伝承や神話、六国史の記事、さらには考古学遺物にスポットをあてた、最新の研究水準にもとづいた神戸?阪神間古代史の考察。
神戸?阪神間の地域は、比較的新しいまちで成り立ち、その歴史文化はそう古くないと考えられがちである。これは外部の人だけでなく、地域内の一部の人びとの間にも広がっているイメージである。しかし神戸?阪神間の一帯は、古代王権の都のおかれた河内や大和に近く、そこから大陸諸国や西国に向かう交通路の要衝の地にあたる。とくに7世紀代のある時期以降、ここは大王 (天皇) を中心とした直轄地 (聖域) を意味する「畿内」という国土区分システムの、もっとも西端に組み込まれた。そのため古代の時代から、政権中枢部の動きと複雑にからみ合った豊かな歴史をもち、その関連史料も比較的多く残されている。
そこで日頃から共同研究をおこなっている文献史研究者と考古学者が、この地域の伝承や神話、六国史の記事、さらには考古学遺物 (遺構) にスポットをあて、神戸?阪神間の古代史について、最新の研究水準にもとづいた考察成果を書き上げたのが本書である。8名の執筆者が、自分の専門分野や興味によって研究したテーマについて、何度か集まって議論を重ねた。それをうけて各自がまとめたものを、合わせて30本以上の論考として示し、4つの地域別の章に分けて紹介した。主な論考は、目次の通りである。
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