国際人権法の国際的実施

国際人権法の国際的実施

講座国際人権法4

国際人権法の国際実施をめぐる現状と課題を分析。国連における人権理事会の創設、国際刑事裁判所の始動など発展を続ける国際人権法についての最新知見。

  • 著者
  • 芹田健太郎, 戸波江二, 棟居快行, 薬師寺公夫, 坂元茂樹
  • 出版年月
  • 2011年04月
  • ISBN
  • 9784797216844

国際人権法学会20周年の記念事業として刊行された『講座国際人権法』第3巻と第4巻は、2006年11月に刊行された第1巻と第2巻が国際人権規範の形成と展開という規範内容に重点を置いていたので、より広く今日的要請に応えられるものとして、国際人権規範の実施に焦点を当てることとした。

第4巻『国際人権法の国際的実施』は、国連における人権理事会の創設と普遍的定期審査 (UPR) の実施、社会権規約における個人通報制度の導入、国際刑事裁判所の始動など発展を続ける国際人権法の国際実施をめぐる現状と課題を分析することを目的としている。国連の条約機関の委員やカンボジア特別法廷の裁判官として活躍された、また、現在活躍されている執筆者を得て、国際人権法の国際実施の仕組みと現状につき、最新の知見を得ることが可能の内容になっている。

個人通報制度を定めた国際人権規約自由権規約の第1選択議定書や女性差別撤廃条約の選択議定書などの批准のための作業が関係省庁で始まるという節目の年に、国際人権法の実施に関する『講座国際人権法』第3巻と第4巻を発刊できたことは、大いに意義深いものと自負している。

大学院法学研究科教授?坂元茂樹


目次

  • 第1部 総論
    • 1 国連憲章第103条の憲章義務の優先と人権条約上の義務の遵守に関する覚え書き
  • 第2部 国連機関
    • 2 総論 ――国連諸機関による人権活動
    • 3 国連による人権との取組み ――歴史的沿革(1945~2006年)
    • 4 人権理事会の創設とその活動 ――評価と課題
    • 5 国連人権理事会における普遍的定期審査
    • 6 国際連合における人権保障制度と高等弁務官
    • 7 国際人権法の実施におけるNGOの役割
  • 第3部 国際条約機関
    • 8 自由権規約委員会の履行監視活動
    • 9 性差別なき世界へ ――女性差別撤廃委員会の挑戦
    • 10 子どもの権利委員会
    • 11 拷問等禁止条約およびその選択議定書の国際的実施
    • 12 国際人権保障機構としてのILO
  • 第4部 地域的機関
    • 13 欧州人権裁判所の欧州人権条約解釈再考 ――仮保全措置の拘束力に関する判断を素材として
    • 14 米州人権条約制度における「回復(reparation)」概念の展開
    • 15 アフリカの人権保障システム ――発展と課題
    • 16 アフリカ人権レジームと「ジンバブウェ問題」
  • 第5部 国際刑事裁判
    • 17 旧ユーゴ国際刑事裁判所の活動
    • 18 ルワンダ国際刑事裁判所の設立及び活動の意義
    • 19 カンボジア特別法廷の法的構造と実務的課題
    • 20 被害者救済の機関としての国際刑事裁判所
  • 第6部 国際人権会議
    • 21 障害者と国際人権法 ――「ディスアビリティ法学」の構築
    • 22 「先住民族の権利に関する国連宣言」の意義と課題 ――土地に対する権利を中心として