家集『琴後集』の著者、村田春海 (1746~1811) は近世和歌において加藤千蔭と共に江戸派の双璧と謳われた。豪商の家に生まれ、賀茂真淵の県門に入り、吉原の遊女を身請けして財産を蕩尽し、晩年は詠歌と国学に精進した「琴後翁」の歌文集『琴後集』のうち家集九巻一六八四首に初めて詳注を加えた。『万葉集』『古今集』『新古今集』はもとより、『堀河院百首和歌』『為忠家初度百首』などの古典、さらに師真淵や親友千蔭の詠草からも貪婪なまでに詞藻を探った、歌詠み春海の真面目を明らかにした。なお、平成二十二年 (2010) は春海の二百年忌に当たる年である。
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