株式会社Preferred Networks (本社:東京都千代田区、代表取締役 最高経営責任者:西川徹、プリファードネットワークス、以下、PFN) と国立大学法人神戸大学 (本部:神戸市灘区、学長:藤澤正人、以下、神戸大学) は、PFNのMN-3が、29.70 Gflops/W*1 (1W?1秒あたり約297億回の演算) の省電力性能を実現し、本日 (日本時間) 発表された最新のスーパーコンピュータの省電力性能ランキングGreen500*2において、2020年6月に続く2度目の世界1位を獲得したことを発表します。これは、2020年11月のGreen500リストにおけるMN-3の記録26.04 Gflops/Wを14.05%上回るものです。

神戸大学からは、大学院理学研究科惑星学専攻の牧野淳一郎 教授、惑星科学研究センターの野村昴太郎 特命助教、細野七月 特命助教が、本共同開発に参加しています。

PFNの深層学習用スーパーコンピュータMN-3

MN-3は、PFNと神戸大学が共同開発した超低消費電力の深層学習用プロセッサーMN-Core?を搭載し、PFNが構築した深層学習用スーパーコンピュータです。PFNは、2020年5月にMN-3の試験稼働を開始し、継続的にシステムの効率化、高性能化を目指してソフトウェア群の開発に取り組んできました。

今回の測定に使ったシステムは、MN-3全体のうち32ノード、MN-Core128個です。MN-Coreの演算性能をより効率的に引き出すためのソフトウェアの改良と、計算機システム全体の電力利用の効率化によって、前回に続き大きく性能が向上 (計算能力で10.25%、電力効率で14.05%向上) しました。MN-3が初めてGreen500リストにランキングされた2020年6月の記録と比較すると、演算に利用しているMN-Coreは同一ですが、省電力性能は40.7%向上しています。これは、コンピュータシステムの電力最適化におけるソフトウェアの重要性を示しており、PFNが従来から得意とするソフトウェア技術によって、MN-CoreおよびMN-3の性能を最大限引き出した結果です。

PFNはHPL (High Performance Linpack) ベンチマークにおけるMN-3の性能向上と並行して、MN-Core専用コンパイラの開発など、MN-3を活用した、より実用的な深層学習のワークロードの高速化を進めています。ハードウェアとソフトウェアの両面から開発を進めることで、自動運転、ロボティクス、創薬をはじめとするPFNの様々な研究開発にMN-CoreおよびMN-3を活用していく予定です。

今回の測定に使ったシステム構成および演算性能は次の通りです:

2021年6月2020年11月2020年6月
ノード数32ノード40ノード
MN-Core数128個160個
CPUコア数Intel Xeon 1,536個Intel Xeon 1,920個
ピーク性能 (理論値)3.138 Pflops3.92 Pflops
連立一次方程式を解く計算速度 (HPLベンチマーク)1.822 Pflops1.653 Pflops1.621 Pflops
省電力性能 (消費電力1Wあたりの性能)29.70 Gflops/W26.04 Gflops/W21.11 Gflops/W
Green500リストランキング1位2位1位

MN-3 - MN-CORE SERVER, XEON PLATINUM 8260M 24C 2.4GHZ, PREFERRED NETWORKS MN-CORE, MN-CORE DIRECTCONNECT

(リンク中のCores: 1,664の内訳はMN-Core 128個、Intel Xeon CPU 1,536個です。HPLベンチマークでは主にMN-Coreが演算を担当しています)

用語解説

※1 Gflops/W
プログラム実行において、1Wの電力で実行できる浮動小数点演算回数 (単位は1秒あたり10億演算) であり、省電力性能の目安となる。
※2 Green500リスト
これからのスーパーコンピュータはエネルギー効率が最重要である、という見地から、2005年に始まったプロジェクト。バージニア工科大学の Feng 教授を中心とするグループが2007年11月から年 2回発表している。対象となるのはHPLベンチマークでTOP500 にランク入りしたシステムで、演算性能/消費電力比で順位が決まる。

株式会社Preferred Networksについて

株式会社Preferred Networks

深層学習技術とロボティクスなどの先端技術を実用化することを目的に、2014年3月に創業。交通システム、製造業、バイオ?ヘルスケアの3つの重点事業領域をはじめ、パーソナルロボット、プラント最適化、材料探索、スポーツ解析、エンターテインメントなどの分野にも深層学習の応用領域を拡大しています。2015年にオープンソースの深層学習フレームワークChainer?を開発。2020年6月に続き、2021年6月に自社開発の深層学習専用プロセッサーMN-Core?を搭載したスーパーコンピュータMN-3がGreen500リストで世界1位にランキング。

Chainer?、MN-Core?は、株式会社Preferred Networksの日本国およびその他の国における商標または登録商標です。

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