
神戸大学に今春新設された「医学部医療創成工学科」の設置記念式典?祝賀会が2025年7月1日、神戸大学医学部会館「シスメックスホール」と医学部福利厚生施設4階「神緑会館記念ホール」(神戸市中央区楠町)で開かれました。藤澤正人学長、村上卓道医学部長ら関係者、来賓約230人が出席し、新学科の設置に相応しい盛大な式典となりました。
長寿社会を迎えた日本は、先進的な医療の提供がこれまで以上に求められる半面、医療機器の多くを欧米に依存し、医療機器の不足や、医療費の高騰などの課題が生じています。現状の改善には、医療機器の国内開発とそれを担う高度な専門人材の育成が急務です。
神戸大学は、医学と工学の基礎知識を併せ持ち、自ら課題やニーズを見つけ、その解決に向けたものづくりができる「創造的開発人材」を育てるため、医学部に「医学部医療創成工学科」を設置しました。4月に第1期生となる29人が入学し、医療機器開発を実践教育の題材とし、介護?福祉やヘルスケアなど幅広い領域で活躍できる人材を育成しています。また、臨床工学技士の受験資格が取得できるカリキュラムを整え、医療現場に貢献できる医療技術者への道も開かれています。
本学は2019年度、神戸市や産業界と連携して「未来医工学研究開発センター」を設置し、神戸医療産業都市において医療機器開発の課題解決に乗り出しました。2023年4月には、日本で初めて医療機器開発に特化した医工融合型の大学院教育課程として「医療創成工学専攻」を医学研究科に設置しています。そして、今回の医学部医療創成工学科の設置で、学部段階から医療機器を題材とした教育研究が始まり、医療機器開発をけん引する人材の養成に努めています。

記念式典では、村上医学部長が式辞を述べ、続いて藤澤学長が「神戸大学は今、『知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点』として進化?発展し続けることをビジョンに掲げ、さまざまな改革を進めています。また同時に、大学にとって最大の使命である、イノベーションを担う人材育成に取り組んでいます。このたび設置した医療創成工学科が、大きな役割を担っています。我が国の医療現場は今、深刻な課題に直面していますが、この新学科で学んだ学生たちが『新しい医療のかたち』を社会に提示し、世界のリーダーとして活躍することを、心から期待しています」とあいさつしました。
続いて、塩田剛志内閣府地方創成推進事務局参事官、日比謙一郎文部科学省高等教育局医学教育課長、齋藤元彦兵庫県知事、今西正男神戸市副市長から来賓祝辞があり、その後、大谷亨医学部医療創成工学科長による学科紹介がありました。
引き続き行われた記念講演では、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院の荒井保明元院長が「医療機器開発:ゼロから出発する楽しさ」と題して講演しました。また、MedVenture Partners株式会社の大下創代表取締役社長が「国内医療機器エコシステムの創出に向けて~海外?国内の成功事例のご紹介~」をテーマに講演しました。

(医学部医療創成工学科、広報課)