独立行政法人日本学術振興会の令和7年度研究拠点形成事業 (A. 先端拠点形成型)に、神戸大学沙龙国际娱乐_澳门金沙投注-官网研究科を拠点機関とした国際共同研究プロジェクトが採択されました。

研究課題名?研究代表者

<研究課題名>

「雰囲気学」国際研究拠点形成

<研究代表者>

神戸大学大学院沙龙国际娱乐_澳门金沙投注-官网研究科 久山 雄甫 准教授

<研究期間>

令和7年~11年度

拠点機関

<相手国拠点機関>
  • コペル科学研究センター (スロベニア)
  • センス学研究所 (カナダ)
  • ロストック大学新現象学会(ドイツ)

 

<国内協力機関>
  • 東京大学

概要

<研究拠点形成事業とは>

地域における諸課題解決に資する研究課題について、我が国と世界各国の研究教育拠点機関をつなぐ持続的な協力関係を確立することにより、当該分野において世界的水準または地域における中核的な研究交流拠点の構築とともに、次世代の中核を担う若手研究者の育成を目的とした事業です。A.先端拠点形成型は、我が国において先端的かつ国際的に重要と認められるものが対象です。

<採択課題概要>

本事業の目標は新学術領域「雰囲気学(Atmospheric Studies)」の国際研究拠点形成と若手育成です。人間の生活はつねに雰囲気のなかで営まれています。ムードと呼ぶにせよ、空気と呼ぶにせよ、その影響力を知らない人はいません。しかし従来のアカデミズムでは、雰囲気は曖昧模糊とした個人的印象として等閑視されることがしばしばでした。学術テーマとして正面から論じられることはきわめて少なく、また、わずかな先行研究も文化的偏りや理論と実践の乖離という大問題を乗り越えられていません。ただし近年、VRやメタバースなどの脱物質化した現実性の拡大、感染症による物理的共生の限定、新しい環境思想や自然観の要請、民主主義の危機といった社会激変に応じて「雰囲気」の多面的重要性が各国で注目されはじめています。

本事業では、来るべき雰囲気学の共通基礎概念体系と学術ネットワークを整備することで、次世代の社会的要請に応えうる総合知の基盤を形成します。神戸大学の「神戸雰囲気学研究所(KOIAS)」を中心に、2026年度に世界雰囲気学会を設立して国際学術誌を刊行し、持続可能な自立的研究ネットワークを形成します。(1)比較文化論?感性論?人間論の3テーマで学際的共同研究を実施し、(2)若手中心セミナーと全体セミナーを交互に開催することで、文化と分野を横断する共通基礎概念体系を整備しオンライン辞書を公開します。さらに(3)雰囲気学フェロー制度を中心とした若手研究者の国際交流を促進します。全体をとりまとめるKOIASが東アジア拠点を兼ねます。ロストック大学新現象学会(GNP:ドイツ)が欧州拠点①(基礎研究担当)、コペル科学研究センター(ZRS:スロベニア)が欧州拠点②(応用研究担当)、センス学研究センター(CSS:カナダ)が北米拠点を担います。また、東アジア圏で協働する中央研究院(台湾)と東京大学UTCP+EAA(日本)、および関連組織Atmospheric Spaces(イタリア)、IPPh(ドイツ)、no.ar lab(ブラジル)を準拠点機関と位置づけ、各機関から研究協力者が本事業に参加して緊密な国際研究交流を行います。

以上の研究交流を通じ、5か年計画で、雰囲気を鍵として、主客や時空といった西洋的二元論を具体的にのりこえ、理論と実践を架橋し、「アトモスフィア」と「気」の世界観を対話させ、さまざまな歴史文化と学術分野を横断する総合知を打ち立てます。