文部科学省の女性リーダー育成事業に採択された「神戸大学 ADRES(アドレス)サイクルによる輝く女性リーダー活躍促進プログラム」の口火を切る「キックオフ?シンポジウム」が2025年3月10日、本学瀧川記念学術交流会館大会議室で開かれました。
本学は2024年10月1日付で、文部科学省の科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(女性リーダー育成型)」に採択されました。同事業は、女性研究者の上位職への積極的な登用を推進するもので、昇任に伴う教員人件費の増分を直接支援できる点が、これまでの補助事業になかった大きな特長です。それに伴い本学が進める採択プログラムでは、女性教員の採用比率と在籍比率を向上させ、女性教授と准教授、とりわけ自然科学系の女性教授を増やすことを目的にしています。
本プログラムでは、事業実施期間の最終年度となる2029年度に、承継内女性教員採用比率30%以上、同在籍比率25%以上、自然科学系の女性教授4倍増などを達成する目標を掲げています。事業実施に際しては、学長を議長とし、事業に関する意思決定と事業進捗の管理を担う「女性リーダー育成会議」が新設されました。
事業目標を達成するため、「登用」(Appointment)、「育成」(Development)、「定着」(Retention)、「意識改革」(Shifting mindset)の4つの行動計画を進めます。昇任支援制度を運用したロールモデルの提示、大学院生から管理職までを対象にしたシームレスな研究支援、全ての研究者を対象にしたワークライフバランス支援、全構成員の意識を変える取り組みなど、多岐にわたるプログラムを展開します。タイトルの「ADRES」は、4つの行動計画の英語表記の頭文字を取り、独自にネーミングしたものです。

シンポジウムは、学内外にプログラム内容を紹介、アピールすることを目的に企画され、オンライン参加を含め、大学、企業関係者ら約100名が参加しました。
シンポジウム第1部では、藤澤正人学長が冒頭あいさつに立ち、2007年度からの「女性研究者支援モデル育成事業」を皮切りに取り組んだ4事業や今回のプログラムについて触れながら、「本日のキックオフ?シンポジウムが、今後のプログラムの改善?発展に大いに役立つものと思っています。神戸大学のさらなる発展、参加の皆さんの機関におけるダイバーシティ推進の一助となることを祈念します」と話しました。
続いて、国立研究開発法人科学技術振興機構のプログラム主管?山村康子氏が「組織戦略としてのダイバーシティ推進」をテーマに基調講演を行いました。世界のジェンダーギャップランキングを紹介、女性研究者割合の国際比較をし、国内の大学における専門分野別教員の女性割合を示しながら、本事業の意義や目標を説明。2024年度に選定されプログラムに着手した本学への期待を語りました。次いで、女性リーダー育成推進室の田中丸治哉コーディネーターが、プログラムの概要と実施体制について説明しました。
第2部では、女性リーダー育成推進室長の奥村弘理事がファシリテーターを務め、栗栖薫子法学研究科長、みらい開拓人材育成センター長の佐藤春実学長補佐、藤濤文子副学長、元人間発達環境学研究科長で元男女共同参画推進室長の朴木佳緒留名誉教授が登壇し、パネルディスカッションを行いました。
4人のパネリストは、実際にリーダーになるまでの自身のキャリア、管理職経験を披露しながら、大学におけるジェンダー平等の現状や、教授や上位職といった女性リーダーを増やすための具体的な施策について、活発な意見交換を行いました。最後に、女性リーダー育成推進室副室長の野田和惠学長補佐が閉会の挨拶をし、幕を閉じました。

(女性リーダー育成推進室、広報課)