本日はお忙しい中、第6回ホームカミングデイ記念式典にご臨席賜りまして誠にありがとうございます。神戸大学の構成員を代表いたしまして、一言ご挨拶を申し上げたく存じます。
その前に、まず、この場をお借りしまして、東日本大震災において被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
そして、被災地での救援活動にご尽力いただいている関係者の皆様に、厚く感謝申し上げます。
神戸大学は、16年前の阪神?淡路大震災で大きな被害を受けましたが、その折には、東北、関東を含む多くの方々から温かいご支援をいただきました。
このたびの大震災におきましては、本学は、次のとおり支援活動を行いました。
まず、震災後の3月22日にトラック2台分の支援物資を仙台市の東北大学へお送りしました。
また、震災への義援金として、本学の教職員や学生に呼びかけた募金約2000万円を日本赤十字社を通じて寄託した他、教職員も被災地へ派遣いたしました。本学の各部局におきましても独自の支援活動を展開してまいりました。
さらに本学は、被災大学としての経験を生かし、東日本大震災からの復興に向け、神戸大学としての提言をまとめることができました。なお、この提言は、「東日本大震災復興構想会議」の提言を首相に答申する前に同会議の五百旗頭議長にお渡しいたしました。
本学の提言は、多くの教職員の献身的なご尽力により完成を見たわけでございますが、私はこの提言の内容を拝見て「オール神戸大学」としての底力を実感しました。
そして、8月3日に五百旗頭議長や東北大学総長をお招きし、「東日本大震災からの復興に向けて-神戸にできること-」と題したシンポジウムを開催いたしました。
これを契機に、より具体的行動を進めるため、この日曜日の23日に、仙台におきまして、東北大学と「災害科学分野」における包括協定を締結したところでございます。
この協定の締結により、阪神?淡路大震災と東日本大震災においてそれぞれ被災した両大学の連携を通じ、災害科学分野における学術研究、人材養成及び社会貢献を推進し、東日本大震災の被災地域の再生や、人類に共通する災害復興問題の解決に向け、お互いの大学が、それぞれ得意とする分野間の連携?協力を図ることにより、防災?減災などの科学技術、都市再生や経済政策など復興に対する社会貢献が果たせるものと考えております。
さて、話は変わりますが、ここで、本学の将来ビジョンである、「ビジョン2015」に向けた最近の本学の取り組みを簡単にご紹介したいと思います。
まず本学の「国際化」の取り組みですが、ヨーロッパの諸大学?研究機関との国際連携による教育研究の推進を目的として、昨年EUの首都ベルギーのブリュッセルに開設したオフィスが、先月、開所1周年を迎えたのを機に、ブリュッセルにおいて第2回目となるシンポジウム「巨大災害に強い安全社会の構築に向けて」を開催いたしました。東日本大震災及び津波について、日欧で情報を共有するとともに、超広域災害と複合災害が社会にもたらす影響についての議論がシンポジウムの目的でございます。ブリュッセルにおける活動は、元々本学のEU研究が高く評価されスタートしたもので、ヘルマン?ヴァン?ロンプイEU大統領との合計3回にわたる面談を実現するとともに、多大な歓迎と激励を受け、大いに誇りに思っております。
また、平成21年度にスタートさせた若手研究者の1年にわたる長期海外派遣制度も3年目を迎えました。今までに43名を、そして来年度は17名を派遣することとしております。
他大学との連携では、今年3月に、イギリスのオックスフォード大学と大学間連携協定を締結いたしました。具体的な両大学間のプログラムでは、本学文学部にオックスフォード大学の学生12名を毎年受け入れるものですが、さらに他の分野での交流も期待しております。
次に、研究領域でのトピックスとしましては、ポートアイランドにある理化学研究所のスーパーコンピュータ 京 (けい) の東隣に、本年4月1日付けで統合研究拠点を設置いたしました。他大学や他の研究機関とも連携し、ここから神戸大学の最先端研究を世界に発信してまいります。現在、この統合研究拠点に隣接して350名収容の「国際コンベンションホール」を建設中であり、近く竣工予定となっております。先端研究の推進につきましては、総合大学として融合研究を推進し、ここから生まれる研究イノベーションを基に、更なる教育研究へのフィードバックを図りたいと思っています。ポートアイランドの統合研究拠点は、「京コンピュータ」との連携を視野に入れて世界へ最先端の研究成果を発信できればと思っております。
ところで、今月の12日から2日間にわたりまして、京都で第7回」「日中学長会議」が開催されました。日本側は東大や京大を始めとする国立及び私立の17大学が、また、中国側は北京大学や清華大学を始めとする18大学が参加しましたが、私はシンポジウムでは、「大学の国際化」というテーマで分科会での議長を務めました。シンポジウムとは別の、日中大学間個別懇談の際には、北京大学を始め、中国五大学の学長と意見交換をしましたが、本学の評価は高く、中国の主要大学との連携についても手ごたえを感じた次第でございます。
さて、本学は来年創立110周年を迎えます。私は、これを機にさらなる国際化の推進と先端研究の推進を図って、神戸大学の発展に尽力したいと考えております。
以上、主な取り組みを申し上げましたが、今後もさらなる飛躍のため、全力で取り組んでまいりますので、皆様方のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。
最後になりましたが、今日の記念式典の講師として、野村ホールディングス株式会社の中川順子 (なかがわ じゅんこ) 様にお越しいただいております。
中川様は、本学の文学部をご卒業になり、野村證券株式会社に入社され、現在は、野村ホールディングスの財務統括責任者としてご活躍でございます。今日は、大変お忙しい中、母校のためにお越しいただきました。元気が出るお話を聞かせていただけるのを、楽しみにしております。
なお、本日のホームカミングデイでは、本学の学生諸君が企画段階から積極的に参画しています。この機会に学生や教職員と、さらには同窓生や先輩、後輩、恩師との旧交を温めていただき、今日一日をお楽しみくださいますようお願い申し上げまして、私のお礼の言葉とさせていただきます。